空中散歩

ふわふわと空中を歩くように、好きなドラマや映画、アーティストなどについて書いています。

ミュージカル黒執事DVD感想

去年の春頃、アニメ「黒執事」を見る機会がありました。
噂どおり面白かったので原作の漫画も読みたくなり、その時点で発売されていた二十数巻をまとめて購入。
本の置き場に困るので、漫画本はなるべく買わないようにしてからずいぶん経ちますが、これはぜひ読んでみたいと思いました。
 
絵が綺麗だとか、ヴィクトリア朝の雰囲気がよく描かれているとか、伏線の張り方が自然で構成が上手いとか色々感想はありますが、一番すごいのは悪魔や死神が出てくるようなファンタジーなのに、人間の死が逃れようのない必然で描かれるところ。コメディ要素もある漫画なのに、残酷な死もきちんと描く。
田村由美さんの名作「BASARA」も人の罪や死を描くことから逃げなかったけど、「黒執事も正面から挑んでいると思いました。

それから少し時間が経ちましたが、ミュージカル黒執事(生執事)の直近二作、「地に燃えるリコリス2015」と「NOAH'S ARK CIRCUS」のDVDを今年の1月末に見ました。

2.5次元ミュージカルと言われるものを見るのは初めてで、あまり期待はしていませんでした。
原作、アニメとも絵が美しく、ミュージカル化するとイメージが崩れるのではというのもありました。
ただ、ミュージカルのビジュアルを見た時に、違和感を感じなかったこともあって、まずは見てみようと思いました。

ミュージカルの評判がいいのはファンの欲目もあるだろうと、正直それほど期待していませんでしたが、実際見てみるといい形で裏切られました。
 
キャストの歌のレベルに差があって、全体的には歌が弱かったり、たまに冗漫な部分が気になったものの、原作に忠実に再現する演出の工夫や、テンポの良い掛け合い、ダンスやアクションもふんだんに盛り込まれて飽きさせないし、何よりやはり原作のままでありながら人間が演じることで熱量が加わったことが、ミュージカルとして原作とは別の世界を確立しているように思います。


リコリス」ではマダム・レッド役のAKANE LIVさんの演技と歌唱が圧巻で、他のキャストの歌の弱さなど気にならなくなる程、見事に舞台が締まりました。いつの間にか引き込まれていてマダム・レッドの回想シーンでは涙が出てしまいました
 セバスチャン役の古川雄大さんとグレル役の植原卓也さんのアクションシーンも迫力があり、見応え十分でした。


「サーカス編」は登場人物も多く、舞台がサーカスだけに演出も凝っており、サーカス団員の役割にも工夫が加えられて、舞台で出来得るなかでも映える技を披露。ジョーカー役の三浦涼介さんの熱演もあって、サーカス団員の最期は胸に迫るものがありました。

音楽も「リコリス」のマダム・レッドの心情とともに少しづつ形を変えて歌われる「道に迷わないように」は、美しい旋律が耳に残ります。
 一幕と二幕の最後に歌われる「私はあなたの駒となり剣となる」はセバスチャンの高音が印象的な盛り上がる曲です。
 
 「サーカス編」では、キャスト全員で歌う「すべては明日に」は、個々の歌のレベルの違いが出てしまう、音程もリズムも難しい曲ですが、それが物語の不安感と期待感をうまく煽りました。
「It's not rewarded」はメロディラインが美しく、セバスチャンの歌声に聞き惚れました。

この二作品を通して目を離せなかったのが、セバスチャン役の古川雄大さん。

漫画と比べても違和感のないスタイルの良さと端正な容姿でまず驚きますが、長身で手足が長いのでアクションが大きい上に、動きの切れがよくて舞台での見栄えがいい。
歌声は癖がなくきれいで、高音の伸びも美しく、すっかり魅了されてしまいました。
 
古川さんのデビューしたドラマをリアルタイムで見ていたのですが、まさかこんなに歌も演技も上手くなっているとは、思ってもいませんでした。
もともと、ミュージカル黒執事も古川さんの名前がなかったら見てなかったかもしれませんが、DVDを見て良かったと心底思いました。
 
 #黒執事 #生執事 #古川雄大